いつの間にか四月になっていた。
あと一ヵ月もすれば、期末テストに突入しそれが終わるとともにスペイン留学も終わってしまう。
なんて早いんだろう。
さて、そんな四月のはじめにSemana Santaという一週間の休暇がある。聖週間、英語圏ではイースターとして知られるお休み。
この時期スペイン、特に南部アンダルシア地方では各教会がイエスやマリアの像を乗せた御神輿を担いで街中を練り歩いたりと、盛大にキリストの復活を祝うため、多くの観光客が見物に訪れる。
僕はいつものように休暇直前まで予定も立てず、漠然と「せっかくのSemana
Santaだしアンダルシアにでも行こうか」と考えていた。
しかし直前になって大学の友人から「ヒホンの実家に遊びに来ないか?」との誘いあり。
ヒホンはアンダルシアとは真逆、北部カンタブリア海に面するアストゥリアス地方の都市であるが、せっかくの誘いである。
しかも何度も足を運んでいるアンダルシアとは逆に北部は一度バスク、リオハへ旅行に行っただけで、他の地域には足を踏み入れてもいない。
Semana Santaにスペイン北部へ旅行。なかなか天邪鬼的選択だけど即決。
休暇開始までもう二日と迫っていたが、早速旅行の予定立て。
せっかく北部に行くならアストゥリアスだけでなくガリシア地方も見てみたいと欲を張り、最初はサンティアゴ・デ・コンポステーラへ飛ぶことにした。
日曜日早朝バラハス空港へ。
今回の旅はいつものRyan Air。
直前に予約したものだから、国内線にしては結構かかってしまったが、それでもバスよりも少し高くつく程度。
バスが10時間近くかかるのに対して飛行機は1時間である。
期間が短い旅行をするときには交通手段は考え物。
僕は時間とお金の兼ね合いでいつも考えるようにしている。
今回のように値段が10€程度しか違わないのならケチってバスに乗るよりも飛行機で一時間でポンと早朝に飛んでその日一日を有効に使ったほうが余程賢いだろう、と考えた。
それにしても毎回旅行するたびにお世話になっているLCC。
機内サービスを有料化などしてかな基本コストの削減はされていてかなり助かる。しかし、こないだどこかで「Ryan Airが今度は航空機内でのトイレの使用に対して課金をしようとしている」、という記事を見た。
読んだときは笑ってしまったけど、さすがに怖くなってきたぞ、ライアン!
いくらなんでもやりすぎだろ。
そろそろ各乗客の体重によって料金設定されるんじゃないかしら。
飛行機に乗ってから忘れ物に気付く。
暇な移動時間に読む本を持ってくるのを忘れた。
しょうがないので機内で新聞を買う。(新聞への課金は当たり前)
たまにカッコつけて新聞を買ってみるけど、一日で読み切れることはほとんどないと言っていい。もったいないと思って少しの期間とっておくけどまた読み返すことも絶対にない。
パラパラめくって面白そうな記事だけ拾い読みをしていると、スペイン北部で大きな被害をもたらしている山火事についての記事を発見。
さすがに雨が少ないイメージがあるスペインといっても、今年の冬は雨が降らな過ぎるらしい。
しかも北部は例年かなり多くの雨が降るはずが、今年はスペイン全土で深刻な雨不足。
そのため、森林地帯が広がる北部では山火事が深刻な被害をもたらしてるという。
何も問題がなければいいが・・・。
飛行時間一時間ほど、朝9時にサンティアゴ・デ・コンポステーラに到着。
空港から出ると、湿気に身を包まれる久しぶりの感覚。
今年は雨が降らない、と言っても砂漠のような土地のど真ん中にあるマドリードと比べると、空気が含んでいる水分の量が段違いに多い。
Santiago de
Compostela
サンティアゴ・デ・コンポステーラは、スペイン北部ガリシア州の州都であり、世界遺産にも登録されているサンティアゴ巡礼路の終着地でもある。
その最終目的地となっている旧市街にある大聖堂には十二使徒の一人、サンティアゴ、聖ヤコブ(St.Jacobs)の遺骸が祭られていると言われ、エルサレム、バチカンとともにキリスト教の三大巡礼地ともなっているため、多くの巡礼者や観光客が訪れる。
空港から市内のバスターミナルまではバスで約30分。
バスターミナルから旧市街へは少し距離があるが、歩いてみることにした。
すると旧市街に近づくにつれて、オリーブの枝を手にした人たちがぞろぞろ、遠くからは音楽も聞こえてくる。
なんだ、なんだ、と思い大聖堂前の広場まで行ってみると、やっぱり。
聖週間の御神輿大行列(procesión)である。
セビージャ、マラガのようなアンダルシアの都市ほど盛大には行われないが、スペイン全土で行われていて、各地さまざまな特色ある行列が見られる。
今回見たサンティアゴの行列ではみな緑を基調にした衣装を身に着け、バグパイプを持っていてガリシアらしい。
スペインでなぜバグパイプ?
ガリシアにはケルト文化が入っていると言われていて、バグパイプもその名残である。
地図を見れば一目瞭然ではあるが、スペイン北部は海を挟んだ向こう側のコーンウォール、アイルランドなどのケルト文化圏とかなり近い。フランスのブルターニュ地方は大陸でケルト文化圏が残る地域として有名であるが、同じようにスペインの北部ガリシアやアストゥリアスは古くからケルト文化と密接な関係があると言われているのだ。
そのため、観光者向けにバグパイプを吹く路上演奏者もいるし、土産物屋ではケルト文化特有の渦巻模様のアクセサリーが多く目につく。
ケルトとは関係ないが、ガリシアはスペインの中でも独自の文化圏を形成していて、ガシリア語というカスティーリャ語とは別個の言語も持っている。
街中の看板類はもちろん、街を歩いているとポルトガル語のようなくぐもった音と歌っているように聞こえると言われる上下の激しいイントネーションをかなり耳にした。
それにしても街の規模はとても小さい。
大きな街ではないことは知っていたが、ここまで小さいとは。
昼過ぎに宿に荷物を置き、午後は天気もいいので旧市街の外れにある大聖堂も一望できる公園で読書やら昼寝やら。
天気はいいし、次の日も一日中サンティアゴ観光に充てられるということでこの日は夕方までのんびり。
次の日ものんびりと宿から出て、バルで朝ごはん。一人旅はのんびりでいい。
昼過ぎに大聖堂前の広場に戻ってみると、行列で賑わっていた前日とは違い、閑散としていて歩いて疲れ果てた巡礼者がポツポツ座っている程度。
そんな広場で巡礼者に混じって座ってボーっとしていると何やら日本語がガヤガヤ・・・。
見てみると、運動靴、リュック、帽子、杖などで完全武装した日本人のオバサン巡礼者大集団。
僕を見るやいなや、「あなたも巡礼してきたの?わたしたちはね、5日で127km歩いて来たの!!一日20km以上!!」
わお。すごい!!
どうやら100km以上の道のりを歩くと正式な巡礼者として認められる「証明書」が手に入るため、日本からの「100kmちょっとツアー」は多くあるらしい。
マドリードから飛行機で一時間で飛んできたと考えると少し申し訳ないけど、巡礼者たちと大聖堂内も見学。
一人旅特有のゆったりのんびりのサンティアゴでした。
適当に締めくくって、あとはいつもの如く写真でお楽しみを。
どんどん適当になってんな、このブログ。w
なんかドッシリしててカッコ良い教会。 |
サン・マルティン・ピナリオ修道院 |
大行列 |
ちょっと怖いけどKKKではありません。 |
バグパイプを持つ。 |
キリストの御神輿 |
ゼネストの張り紙もガリシア語。 |
公演。久しぶりにこんなに自然な緑を目にして、生き返るよう。 |
大聖堂、遠望。 |
オバチャンたち、大聖堂へぞろぞろ |
うまい。ただ一人旅は飯が寂しい。 |
街はずれの神学校。巡礼者に宿も提供。 |
大聖堂入口の柱には巡礼者たちが祈るために柱についた手の形がくっきり。 |
巡礼終わって溜まる若者たち。 |
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