2011年9月20日火曜日

弾丸ベルギー旅行


マドリード・バラハス空港に到着したのが約2週間前。
まさかこんなに早くまたこの空港から飛び立つとは思わなかった。

ちょうど一週間前にベルギーのホストシスターからこんなメールがきた。

「来週家のお父さんが50歳の誕生日を迎えるから、Keiもサプライズとしてパーティーに来ない?」

すぐに格安航空会社のサイトでマドリードとブリュッセルの航空券を探すと、約€150の航空券があった。
もう旅程が一週間後に迫っていたためにそこまで安くはないが、それでも東京ー大阪間を新幹線で往復するより断然安い。
授業は来週からだし、この値段なら行かない理由がない。
その場でベルギー二日間弾丸旅行が決まった。

雲一つない青空に向かって一気に飛行機が上昇すると、眼下に赤茶けた砂漠のような大地が広がり、それが見渡す限り続く。
しかしどこまでも続いていた青空も、スペインーフランス国境のピレネー山脈付近に来ると途切れ、眼下の大地が徐々に分厚い雲に覆われてくる。
一時間後飛行機が降下を始め分厚い雲を抜けると、バラハス空港を離陸した時に見た景色とはまったく違う景色が広がっていた。
青々とした畑、森、赤い煉瓦造りの家々。
マドリードにもレティーロ公園といった緑がある場所はあるが、一面が緑に覆われた大地を見た瞬間に「あぁ、久しぶりに生命が感じられる地にきた」と心底感じた。

空港から出るととにかく寒い。マドリードを出た時が約35℃、ブリュッセル・シャルロロワ空港11℃。
その差なんと24℃。更に夜になると一桁まで気温が下がる。

空港へホストブラザーとホストシスターの友人が車で迎えに来てくれていたので、いざベルギー北部オランダ語圏アントワープ(オランダ語だとAntwerpen:アントウェルペン)へ向かう。
150-160km/hで飛ばした結果、一時間で家まで着く。
マドリード自治大学の寮を出てからベルギーのホストファミリー宅までdoor to doorで約5時間。なんて早い!なんて便利!

ベルギーにはフランス語圏、オランダ語圏、ドイツ語圏がありそれぞれある程度の自治権を持っている。
そんな特異なお国事情により政治問題は複雑化する。今現在、400日以上事実上政府が存在していないのもその問題のひとつである。
この問題については書きだすと長くなるので、また改めて書くことにする。(あれ、スペイン留学記じゃなかった? いいの、移民問題も絡んでるから。)

ともかく、ホストファミリー宅があるアントワープはフランダース地方(オランダ語圏)の中では最大の都市だ。(首都ブリュッセルはオランダ語圏とフランス語圏の境界線上とされてはいるものの、フランス語が圧倒的優位にある。)
16世紀、大航海時代にはポルトガルがインドから持ち帰った胡椒の中継、スペインが新大陸から持ち帰った銀の中継を担うことで、その時代ではアルプス以北のヨーロッパでは最大の都市となり、今でもその繁栄の面影をとどめている。
そんなアントワープ、日本では「フランダースの犬」(ネロとパトラッシュのお話ね)の舞台として有名だ。
最後にネロとパトラッシュが死んでしまう教会も実在するし、ネロがずっと見たがっていたルーベンスの絵画も教会内で見ることができる。

しかし。
アントワープに行ったときに「フランダースの犬」について地元の人に聞かない方がいい。記念碑なども期待しない方がいい。
なぜか。誰も「フランダースの犬」お話を知らないからだ。
実はあの物語を書いたのはイギリスの無名作家であり、ベルギーでは決して多くの人に読まれている本ではない。
日本からの観光客が「なぜフランダースの犬の記念碑がないのか」とたびたび地元の人に聞くために、ネロとパトラッシュの像が作られたのがほんの数年前。
街のどこかにあるはずなのだけど、一度も見たことがない。よほど一目につかない所にひっそりと建っているのだろう。

今回の度では観光はしない。しいて言えば、新しく出来た美術館を少し覗いただけ。あとは朝までゆっくり寝て、庭でホストブラザーとサッカーをして、夜はベルギービールをたらふく飲んで寝る。
素晴らしい2日間だった。
こうしてスペインからベルギーに来てみると、ベルギーに留学していた時よりもホストファミリー宅が「家」ようだ。
ベルギーにいる時はやっぱり日本が「家」だった。今度スペインに住んでいるときにベルギーに来ると、ベルギーが「家」ように感じられる。
でもこうやって比較ばかりしていると不幸だ。現在形で住んでいるスペインがいつまでも「家」のように感じられない。
早くスペインに馴染んでスペインを「家」のように感じられますように。


今回は写真はほとんど撮っていないので、留学していた時に撮った写真掲載。


ネロとパトラッシュが死んでしまう教会と街が誇る画家ルーベンス象。

ちなみにベルギーでこの写真のような晴天に恵まれるのは年に数日である。


新しくオープンしたアントワープの美術館とホストブラザー・シスター


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