2011年11月13日日曜日

San Sebastián または Donostia


前回の投稿でログローニョ、サンセバスティアン、ビルバオを旅行してきたと書いたのにログローニョ編で途絶えた。失礼。
旅行後の2週間は課題に追われてブログ編集どころではなかった。
授業のための読書、プレゼンテーションなど旅行前に山積みになっていた課題はだいぶ減ったけど、やってもやっても新しい課題が出されるから進んだ気がしない。
先週はスペインに来てから初めてかなりの準備が必要なちゃんとしたプレゼンもこなした。
このプレゼンについてもまたブログに書こうと思うけど、まずは旅行を終わらせよう。
というわけで基本的にこのブログへの投稿は実生活とは2週間近くズレているということをご了承ください。

さて旅行について。
ログローニョで一晩を過ごし、次の日は朝9時のバスでサンセバスティアンへ。
ログローニョ、サンセバスティアン間はバスで約2時間半、ほぼずっと山道が続く。
スペインに来てから初めてといってもよい、緑に覆われた山々が続く。山々の谷間には小さな集落があり、たくさんの羊が放牧されている。のどかだけど、なんだか「スペインらしくない」風景だ。
サンセバスティアンに着く直前に少し土地が開けてきて、バスから降りると久々に潮の匂いがした。

サンセバスティアン(バスク語ではドノスティア)はスペイン北部のビスケー湾に面し、スペインーフランス国境に限りなく近いバスク地方の都市である。
中世にはサンティアゴへの巡礼の中継地として栄えたが、スペインの独立戦争の際にはフランスのナポレオン軍とイギリス軍の攻防戦によって街の大半は破壊されてしまったらしい。
近年では高級避暑地として人気で、夏には街の西部にあるコンチャ海岸は海水浴客で埋め尽くされる。

降り立ったバス停は街の南部に位置していたが、街の中心部までも大した距離ではないので、歩くことにした。
ウルメア側に沿って河口方面に北上するとともに海の匂いはだんだんと強くなってくる。
街並みはとても美しい。川沿いの道の両側には片側ずつ違う種類の街路樹が美しく植えられて、葉も黄色く色づいて美しい。
道端に建つ家々はしっかりとした石造りでどこか東欧のような雰囲気を感じさせる。また所々に建っているコンクリートの
塊のような巨大な建物も、旧共産圏を思わせる。今まで訪ねたスペインのどこの都市とも違った雰囲気だ。

そして街の中に建っている看板にも目がいく。バスク語だ。
ブラジルを除く中南米のほとんどの国で話されている言語なのだから、当然スペイン本国においてはスペイン語しか話していないように思える。

でもそれは大間違い。スペイン語(カスティーリャ語)の他にもカスティーリャ語、ガリシア語など地域によって様々な言語を話している、”多言語国家”である。
それでもこれらスペインで話されている様々な言語のほとんどはスペイン語と同じくラテン語に起源を持っているため、程度の差はあれ、基本的な文法構造や単語は似ている。
ただそのラテン系言語から完全に外れているのがバスク語だ。
バスク語の起源についてはこれまで様々な説が提唱されてきたが、まだ特定されていない。
その文法構造や単語の特殊性から、同じく起源がはっきりしない日本語との関係も真剣に検討されたぐらいである。(ほとんど支持は受けてないみたいだけど・・・)
また氷河時代の先住民族の言語の直系ではないかという学説もある。
とにかく何が言いたいかというと、町中の看板はまずバスク語で書いてあり、その下にカスティーリャ語が書いてあるものの、バスク語で書かれると何が書いてあるのかさっぱり見当もつかないということ。

このようなことは前にもあった。
一年間留学していたベルギーも多言語国家だったからだ。
九州くらいの小さな国がオランダ語、フランス語、ドイツ語を話す地域に分かれている。どれも公用語だから看板や商品説明は3言語で書かなければならないのだ。それでもドイツ語はオランダ語が分かれば書いてあることは分かるし、フランス語はなんとなく英語やスペイン語から想像がつく。

ただバスク語は本当に何も分からない。下に書いてあるカスティーリャ語と比べても、都市の名前まで変わってるから何が書いてあるのかさっぱり。
目に留まるのはアルファベットの「K」の頻発。カスティーリャ語のアルファベットに「K」は存在するが、「外来語」を表記するときにしか使わない。
一方バスク語では「K」が頻発するので、やたらと目に留まるのだ。

バスクに来たことを実感するのは言語だけじゃない。
いたるところにバスクの旗とバスク十字のマークがある。人々の家の窓の外、レストラン、お土産屋さん、ほんとうにいたるところ。

旧市街を散策したあとは、コンチャ海岸を横断して反対側にあるPeine de los VientosとMonte Igueldoへ。
Peine de los Vientosとは何か。海岸沿いに海へ突き出したオブジェのことである。なかなか美しい。
実はここ、日本でのスペイン語の授業で読んだ小説に登場した場所であり、地味だけどスペインで来たかった場所の一つ。
Monte IgueldoはPeine de los Vientos は近くからかわいい小さなケーブルカーに乗って上がれる小さな丘。
丘の上からはコンチャ海岸とその向こう側に広がるサンセバスティアン旧市街が一望できる。
スペイン北部の冬は酷く寒い上に、雨ばかりというけど、晴天かつマドリードより暖かいポカポカ陽気。景色も抜群。

夜はもちろんバスクのピンチョスをつまみ、ワインを飲む。うまい、うまい、うまい。いや、本当にうまい。
3人でたらふく飲み食いして€36。一人1500円しない。
日本の“スペインバル”の何分の一だろう?
やっぱり安くて旨いからスペインバルなわけで。日本の“高級スペインバル”って形容矛盾じゃないかしら。

宿は街の中心からは少し外れた、郊外にある小さな安ホテルに泊まる。安い、綺麗、よいね。

バスクの旗


バスク十字というバスク地方伝統の文様
何を意味するかは謎らしい。有力説は一つ一つの「羽」がそれぞれ「火」「大地」「水」「空気」を表すというもの


バスク語とカスティーリャ語、二重表記の看板

バスク語表記の駐車場
バスク語で駐車場が「Okendo」なのか「Pokendo」なのかはいまだ不明。w

「だから食べるな」w
タベルナはレストランだけど・・・バスク語でダカラは何を意味するのかはまだ分からない・・・

もちろんZARAのショーウィンドーだってバスク語
















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